人類史上その「身体」に影響を与え続けてきた「美力」に注目し、歴史的検証を鑑みながら新たな「美」を検証し作品を制作する、神楽岡久美の世界をご紹介いたします。
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Face Cage
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Extended Finger
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Study of Metamorphose
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Kaguraoka's X-ray Extended Model's X-ray
ドローイング 110,000円から
スカルプチャー 330,000円から
神楽岡久美
医療職である両親の元に生まれた神楽岡は、身体に興味を持ち、ファッション・玩具などの身体と密なコミュニケーションツールデザインをバックグラウンドにもつ。
「身体とは感覚を持って外界と対話するためのツールである。」をステートメントに2015年から制作活動を開始する。
2022年4月からニューヨークでの活動を開始予定。
2012年 | 武蔵野美術大学大学院 空間演出デザインコース修了 |
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[主な個展]
2015年 | 「光を摘む」(スパイラル・東京) 「BankART Artist in Residence OPEN STUDIO2015」(BankART1929・神奈川) |
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2016年 | 「身体と世界の対話(2015-16)」 (T-Art Gallery・東京) |
2018年 | 「身体と世界の対話vol.2」 (ワコールスタディホール京都ギャラリー・京都) |
2019年 | 「KUMI KAGURAOKA solo Exhibition Study of Metamorphose.」(FabCafe Tokyo・東京) 「Metamorphosis to a beautiful body. KUMI KAGURAOKA」(西武渋谷店) |
2020年 | 「Study of Non-verbal-communication.」 (gallery ON THE HILL・東京) |
[主なグループ展]
2015年 | 「シブヤスタイル vol.9」(西武渋谷店) |
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2019年 | 「京都大学ロンドン大学ゴールドスミス校アートサイエンス国際シンポジウム-Art Innovation展 2019」(京都大学) |
2020年 | 「⑨人の眼-9人のアーティスト-小山登美夫監修」 (渋谷ヒカリエ8・東京) |
[受賞歴]
2015年 | 「SICF16」グランプリ受賞(スパイラル・東京) |
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2019年 | Junya Yamamine Award受賞(京都大学) |
[そのほか]
2017年 | 「アイスタイル芸術スポーツ振興財団」 助成アーティスト選定 |
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2020年 | ファッション誌・特集「NUMERO BERLIN」 (ベルリン) |
2021年 | 「吉野石膏美術振興財団 在外研修助成」 助成アーティスト選定 作品掲載「VOGUE MAN Hong Kong」(香港) テレビ朝日・出演「有吉クイズ」 |
#神楽岡久美
西武渋谷店 アートディレクター寺内俊博 / Toshihiro Terauchi
1989年 西武百貨店入社。ヴァンクリーフ&アーペルなどブランド業務に携わる。2000年からアートディレクターに就任。
公募展「Kawaii賞」や「シブヤスタイル」などの数々の若手育成企画を手がけ、西武渋谷店がストアコンセプトに掲げる「Art meets Life」のプロモーションとして「SIDECORE」、「D*Face -Social DIScontent-」や「Meguru Yamaguchi -HIGHER SELF-」など渋谷のカルチャーと親和性のあるストリートアートの展示をプロデュース。深堀隆介やヨシダナギなどの国内巡回展を手がける。
プライベートでも海外のアートフェアやミューラルを巡り、写真やグラフィティー、主張のある立体作品をメインに収集。最近は古美術にも散財中。
紹介する本展のみどころ
徳岡樹(株式会社 生活の友社)が紹介する本展のみどころ
現在、神楽岡の制作活動は「美的身体のメタモルフォーゼ」という一貫したテーマの追求として行われている。この制作を進める上で、人間社会に本質的に必要とされるものの一つに、「美力(美的価値)」があるという点を踏襲し、その証左となる有史以来の各地の歴史や文化、習慣、ジェンダーを調査してきた。そして作品を通し、これらに否応なく刷り込まれた美的価値観をあぶり出すことによって、美というものが人間社会を突き動かすものであると同時に、盲目的に追い求めるがゆえに矛盾や私欲にまみれた表象を生んできた、というパラドキシカルな側面を鑑賞者に想起させることを目指す。
本展ではそのテーマで調査してきた内容をもとに、「未来の美的身体」についての表象を試みる。
神楽岡は1000年後の地球環境を「10℃前後の温暖化が進み、乾燥地帯が増える」と予想する。その未来の美的身体については「厳しい環境下でも生命体として生きる強いものとしてビジョンしています。これは人類の進化の過程において、弱い者からパイオニアが生まれ、人類が進化し続けたという見解から着想しています」と述べる。そのために、現在のアフリカの乾燥地帯に住むディンカ族の身体的特徴やアフリカ地帯に住む集団の遺伝的多様性などに着眼した。これらの神楽岡のリサーチ・研究・制作の流れを垣間見るドローイングや身体装置などが作品として展示されている。
身体にまつわる美的価値観は、日本ではアパレルやデパートで展示されるマネキンの身体、アニメや漫画のキャラクターの造形などに顕著に現れているが、その基準や目標について世間が意識的に捉え理解しているわけではないと神楽岡は考える。そして、いつの時代においてもそうした価値観に翻弄されてきた人類、そして神楽岡自身の視点をもって美力をはじめ、価値とは提示されるものだけでなく、自らそれを表現することができると信じている。ルッキズムをはじめ、神楽岡が視線を向けるものの再考が叫ばれる現代において、そうした作品の批評性が強く求められている。