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2019年10月30日(水) Think College Vol.60

社会問題を、より「おもしろく」語るには?

講師:株式会社リディラバ

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世の中の課題に取り組む人のお話を聴いて、一緒に考える講座シリーズ「Think College」。
これまでは、特定のテーマを取り上げ、そこに関わる人と深く語り合う場となってきました。
今回はあらためて「どれかひとつ」ではなく、どうやったらいろんな課題に関心が持てるのか、
自分が無関心だったらどうとらえていったらいいのか、その方法論を一緒に考えてみましょう。

「無関心の打破」の方法論

石井

こんばんは。株式会社リディラバ、メディア事業部の石井孝明と申します。現在、私はリディラバに関わり、リディラバジャーナルのグロース(成長)担当をしています。

リディラバというのは、”Ridiculous things lover”、すなわち「バカバカしいことが好きな人」。社会問題というマジメなテーマをより多くの人に、より身近なものとして捉えてもらえるように。大変なことにも遊び心を持って取り組みたいという私たちの価値観を表しています。

本日のテーマは「社会問題を、より『おもしろく』語るには?」ということで、皆さまには普段私たちがやっている「構造化」というフレームワークを利用して、社会問題の理解の仕方を学んでいただきたいと思います。

まず簡単に、リディラバという会社について説明しましょう。私たちは「社会の無関心の打破」というものを理念においています。

私たちのまわりには、数々の社会問題があります。なぜ、そうした社会問題が解決されないのか。それは、私たち一人一人の無関心が起点になっていると私たちは考えました。だからこそ、その無関心を打破して、誰もが自分事として関心をもてる社会をつくりたい。そんな理念から、社会問題社会課題の現場に訪れて関心を持ってもらうスタディツアーを企画する会社としてスタートしました。

現在は、学校の修学旅行や企業の人材研修などにスタディツアーを導入していただいたり、社会問題解決の先駆者たちを集めたカンファレンス「R-SIC」などを行っています。

そして、私たちが関わっている「リディラバジャーナル」。これは特集形式で社会問題を構造化した記事を配信するウェブメディアです。ホームレス問題や痴漢問題、不登校など、さまざまな社会問題について多角的な視点から問題を紐解いて発信しています。

この「構造化」という言葉が今回のキーワードとなるので、よく覚えておいて下さい。

「構造化」とはなにか

石井

そもそも「問題」とは何かというと、理想状態と現状を比較したときのギャップのことです。問題を解決していく際には、その問題に対してアプローチを打っていくことになります。

今回は、現状の分析の仕方を学びます。私たちが普段から使用しているフレームワーク「視点、文脈、変数」を用い、これら3つの観点を以て、問題を構造化していきましょう。

まず「視点」。社会問題に関わっている人はたくさんいても、それぞれ、自分が関わっている部分しか見えていないことは多いと思います。そうではなく、問題にかかわっているさまざまなプレイヤーの立場から問題を把握します。

つぎに「文脈」。わたしたちの社会をかたちづくっている法制度や慣習は、過去から脈々と受け継がれている文脈を理解しないとわかりづらいものです。なので、歴史的経緯も意識します。

そして「変数」。これは問題がなぜ発生しているのか、その要因のことです。

一例として、リディラバジャーナルでは、過去にフードロスを特集しました。このとき問題をどのように分析したかというと、まず「生産、加工、小売り、消費」というサプライチェーンの工程に分解しました。

全容の理解から見えてくるレバレッジポイント

石井

あらためて、なぜ構造化をするのかを考えてみましょう。

複雑化する社会構造(システム)のなかで、殻に閉じこもる個人、伝わらないメディア……。たとえば「おなかがすいた」といった基本的な課題は、かつては誰しも同じだったはずです。ところが今、社会が成熟し、多様化が進むにつれて「何々がほしい」「何々がしたい」という個人のニーズがどんどん複雑化してきました。そして、そのひずみが社会問題というものになっていきました。

しかし、現在私たちの周りにはフィルターバブルがあり、社会問題についても一面的にしか見えてこないのが現状です。

これがどういうことを引き起こすのか。物事を一面しか見えていないと、自分とはまったく関係がないととらえてしまいがちです。結果としてそれぞれが当事者のみの問題に矮小化され、「自己責任」として断罪されてしまいます。

こうした現状に対し、社会問題の本質は自己責任論にはないこと、その背景にある要素を分解して、社会システムに欠陥があるということを伝えるために、私たちのメディアは社会問題を構造化をしているのです。

実際に社会問題を構造化すると、どういうことが起きるでしょうか。たとえば、この図を見てください。黒が社会問題で、白いものが社会問題の構成要素です。

分解によって、まず、その社会問題がどういう構成要素で成り立っているかということが理解できます。これが全容の理解。そして、注力すべき要素を発見することができます。

社会問題は複数の要素が絡まっているものですが、ある部分を変えるだけで、じつは大きな変化を起こすことができるレバレッジポイントというものがあります。構成要素全体を見ることによって、そうした、力を入れるポイントが理解できるわけです。

すると、類似構造を持っているほかの社会問題の解決にも繋がります。

みんなでやってみよう

石井

今日の講座の最終目的は、参加者の皆さまに社会問題の現状を俯瞰できるようになっていただくことです。 皆さまの課題感としては、社会問題に興味がある、もしくはすでに関わっているけれども、さらに深く関わりたいのにアクションを起こせない、社会問題について意見を持てない……そういう方が多いのではないでしょうか。

なので、今回はワークショップを実践してみたいと思います。
皆さんには「若年妊娠」「児童養護施設」という問題を取り上げ、二つのトピックについて情報を整理し、社会問題を「構造化」していただきます。

横軸に時間を、縦軸に関わる人ごとの視点を置きます。
時間軸には、若年妊娠については「生殖の前」「意図しない妊娠」「意図しない妊娠の直後」「人工妊娠中絶」あるいは「出産」などが置けると思います。人ごとの視点の軸には、「当事者」「家族」「医療機関」「学校」などが置けますね。それぞれに情報の付箋を貼っていくと、漠然としていた問題点が整理されてくるのがわかるはずです。

俯瞰が終わったら、グループごとに意見交換をしてください。ワークショップの最後に、各グループで形成された意見と、今回取り上げた社会問題の要約、「構造化」して見えた社会問題がどんなものだったかを発表していただきます。

今回のワークショップのように、私たちが普段から実施している社会問題の構造化のプロセスを、皆さまもぜひ実際に実践してみてください。

普段、自分とはまったく関わりないと思われているかもしれない社会問題が、要素分解してみると、自分たちと、じつは近しいところにある、もしかしたら自分が今後当事者になる可能性すらあることが理解していただけるのではないでしょうか。

講 師

ridilover
株式会社リディラバ

リディラバは「社会の無関心の打破」を理念に掲げ、多角的に事業を展開しています。学校向けスタディツアーや法人向け実践型研修ツアー、地方の魅力と課題を伝える地域ツアーなど、社会問題の現場へ人を届ける各種ツアー事業に加え、社会問題専門メディア「リディラバジャーナル」や、1,200名規模の社会問題のカンファレンス「R-SIC」の運営も行っています。

https://ridilover.jp/