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パリ在住のフードジャーナリスト伊藤文さんのコラム

ラグジュアリーなパリのフード事情

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ラグジュアリーなパリのフード事情

昔からグルメの街として名高い、美食の都 パリ。
パリ在住の食のジャーナリストとして活動する伊藤文さんが、世界中の食通をうならせる
数々の美食の中から選りすぐりのものをピックアップして、毎回お伝えいたします。

パリ在住のフードジャーナリスト
伊藤文さんのコラム

アルノーとメラニーのカップルが繰り広げる「ジャルダン・シュクレ」の甘い世界。

2026年5月12日(火)

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パリ郊外、ヴェルサイユ南西にある小さな村で、カップルの手から生まれ落ちた「ジャルダン・シュクレ」。2014年開催「フランス・マカロン選手権」での優勝を機に、パティスリーからチョコレートまで、仏の美食家たちを魅了し続ける。


カフェのインテリア。左は樹木の壁画とケーキショーケース。中央に花束とペンダントライト。右は花柄の壁紙とソファ。温かい雰囲気。


パリ郊外、ヴェルサイユ南西にダンピエール・アン・イヴリーヌという村があります。17世紀に建造された美しいダンピエール城で知られ、建物はルイ14世の主席建築家マンサール、庭園はヴェルサイユ宮殿も手がけたル・ノートルによるもの。4月にはクラシックカーやスポーツカー、名車が城前の石畳を彩る催しも開かれ、城とその城下町は知る人ぞ知る洗練の地です。そんな村のダンピエール城入口そばに、「ジャルダン・シュクレ」の店があります。この店はブランド2軒目となる店舗で、ショコラトリーとサロン・ド・テを兼ねた⼀軒として愛されています。


フレンチトーストとラテ、チョコレートケーキがテーブルに並ぶ。暖色のティールームで木製テーブル、落ち着いた雰囲気。


「ジャルダン・シュクレ」はもともと、メラニーとアルノー・マテズのカップルが、ダンピエール・アン・イヴリーヌそばの村セルネー=ラ・ヴィルで、2012年に初店舗をオープンしたのが始まりです。二人は家族ぐるみの付き合いで出会った幼馴染みの同い年。ともに1988年生まれで、幼い頃から美味しいものを囲み、人と分かち合う喜びを自然に身につけ、その感性をやがて菓子づくりへと昇華させたのでした。二人は決して華やかなパティシエ街道を進んできたわけではありません。


中央に笑顔の2人がショーケース越しに立ち、背景に木の壁画。左右にマカロン、ラズベリーとミントの葉が鮮やかに配置。


アルノーは、料理長だった祖父とレストランを営む家族のもとで育ち、経営を学んできた人。メラニーはモータースポーツの世界を志したのち、製菓へ転身した異色の経歴の持ち主。そんな二人が恋に落ち、二人で「ジャルダン・シュクレ」を始めることになったのです。転機は2014年に挑戦した「フランス・マカロン選手権」での優勝でした。柚子の風味のホワイトチョコレートのガナッシュを閉じ込めた、繊細で優しく涼やかなマカロンだったのです。その勝利によって二人の名は⼀躍知られる存在に。カンヌ国際映画祭のために1,200個ものマカロンが発注されるなど、注目は⼀気に高まりました。ニコール・キッドマンのお気に入りとしても広まり、お客が世界の端からやってきたといいます。


ピスタチオで覆われたスイーツが並ぶ。中央に断面が見えるケーキ。右側はテーブルでデザートを食べる手。温かい雰囲気。


彼らの真価は話題性だけではありません。美しくて美味しい甘いものをお届けし、幸福感を生み出したいという思いは、オープン時から変わりません。ひと口食べた瞬間に誰かと分かち合いたくなる。そんな誠実な菓子作りこそが、二人の人気を支えてきたと言っていいでしょう。 その後、パリ17区へ3店舗目の進出を果たし、さらに名声を決定づけたのが、ピスタチオとオレンジフラワーのタルトです。上質で芳醇なピスタチオのコクと、ふんわりと香るオリエンタルな余韻。洗練の極地を極めたタルトはSNSを通じて瞬く間に拡散され、当店の象徴となりました。


パッケージと花型のピスタチオ入りチョコレート。中央と右の画像は手に持たれた状態で、断面が見える。


創造性はタルトだけにとどまりません。ダンピエール・アン・イヴリーヌのショコラトリーでは、この代表作から着想を得たピスタチオ・プラリネのタブレットが人気を集めています。香ばしく濃密なピスタチオの奥行きに、タルトを思わせる華やかな余韻を重ねた⼀枚です。さらに、蕎麦のプラリネとキャラメル、とうもろこしのプラリネなど、意外性ある素材を香り豊かに昇華させたショコラも登場。素材の個性を引き出しながら、新たな驚きへと変える感性に心を奪われます。


カフェの景色。左にディスプレイケース、中央に暖かい色調の内装、右にチョコレートとナッツが散らばる木製テーブル。


また、その舞台となるダンピエールの店舗にもまた、物語があります。ここは、ルイ・ド・フュネス主演の名作映画「LʼAile ou la Cuisse(邦題:大奮闘)」のロケ地となった場所。フランス人なら誰もが知る、美食とガストロノミーへの愛に満ちた国民的作品です。 様々な記憶が時代を超えて人々を楽しませてきた場所で、いまアルノーとメラニーは新たな甘い物語を紡いでいます。ジャルダン・シュクレとは、幸福が幾重に重なって受け継がれていく庭のようです。




Photos/Jardin Sucré, Aya ITO

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フードジャーナリスト

伊藤 文

Aya Ito

1998年から、在仏食ジャーナリスト・アナリストとして活動。
数々のメディアでの取材・執筆、食関係の本の出版、翻訳の経験、また食分野で活躍する様々なタレント(経営者、シェフ、生産者など)との深い交流を生かし、食を通して日仏をつなぐDOMAを創立(在仏)。
2017年には、パリ12区バスティーユ界隈にショールーム・アトリエ・物販店「atelier DOMA」をオープンする。
和庖丁の販売、メンテナンス、研ぎ教室を中心に、日本の食文化やものづくりの精神を伝える事業も展開する。

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